(1) 高齢者の雇用・就業の機会の確保
ア 知識、経験を活用した65歳までの雇用の確保
65歳までの安定的な雇用を確保するため、事業主に対し、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等について啓発・指導を行う。あわせて、これらの措置の実施及び賃金・人事処遇制度の見直しその他諸条件の整備に係る相談・援助などを実施するとともに、高齢者の雇用に関する各種助成金制度や給付制度の効果的な活用を図る。
加齢に伴う心身機能の変化を考慮して、労働災害の防止、健康の保持増進及び職場環境等の改善を図る。
イ 中高年齢者の再就職の援助・促進
定年、解雇等により離職する中高年齢者が円滑に再就職できるよう、事業主に対し、再就職援助計画制度を活用した在職中からの再就職の援助について指導・援助を行うとともに、離職予定者に対し、的確な職業相談及び職業紹介を行う。
離職した中高年齢者については、失業期間中の生活の安定を図るため雇用保険を支給しつつ、その早期再就職が可能となるよう、効果的な職業相談及び職業紹介を行うほか、職業能力開発、求人開拓、雇用情報提供等を実施する。
ウ 多様な形態による雇用・就業機会の確保
高齢期においては、健康、体力面での個人差が拡大するとともに、就業ニーズが多様化することから、多様な形態による雇用・就業機会の確保を図る。
特に、地域において、退職後に、臨時的・短期的な就業等を希望する高齢者に対し、就業機会を提供するため、シルバー人材センター事業について、実施地域の拡大等積極的な展開を図る。また、同事業において、高齢者の生活支援や介護サービスの提供を推進する。
その他、勤労者が高齢期及び引退後の生活設計に向けての準備を行えるよう、必要な情報を提供するとともに、事業主による援助を促進する。
エ 起業の支援
自らの職業経験を活用すること等により、高齢者が事業を創設し、継続的な就業機会を創出することができるよう、起業の意欲を有する高齢者に対して相談・援助等の支援を行う。
オ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組
中高年齢者の再就職の大きな障壁となっている募集・採用における年齢制限の緩和に向け、事業主が適切に対処するための指針に基づき、公共職業安定所が主体となって年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう事業主に対する啓発・指導を行う。
さらに、将来的には年齢にかかわりなく働ける社会を実現することが必要であり、我が国の雇用慣行にかかわる大きな問題として、国民各層の意見を幅広く聴きながら、当該社会の在り方やそのための条件整備について検討する。
(2) 勤労者の生涯を通じた能力の発揮
ア 勤労者の職業生活の全期間を通じた能力の開発
勤労者が職業生活の全期間を通じてその能力を発揮できるようにするためには、企業主導の職業能力開発に加え、個人主導の職業能力開発を推進する必要がある。
このため、民間教育訓練機関、事業主、大学、NPO等のあらゆる教育訓練資源の活用による多様な教育訓練機会の確保・創出、キャリア・コンサルティング等を通じたキャリア形成支援の推進、幅広い職種を対象とした包括的な職業能力評価制度の整備、能力開発に関する情報の収集・提供体制の整備等を推進する。
イ ゆとりある職業生活の実現等
政府目標である年間総実労働時間1,800時間の達成・定着のため、年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減に重点を置いて、引き続き労働時間短縮の促進に取り組み、高齢者・女性を含めたすべての勤労者に働きやすい職場環境づくりを図る。
さらに、リフレッシュ休暇の普及を促進するとともに、勤労者が退職後を含めボランティア活動へ参加するためのきっかけをつくり、実際の活動に結びつけるシステムを構築する。
ウ 雇用・就業における女性の能力発揮
雇用・就業において女性が能力を十分に発揮できるよう、男女の均等な機会及び待遇の一層の確保を図るほか、女性のニーズに対応した職業紹介や職業訓練、農林漁業経営への女性の参画の促進などの施策を推進する。
エ 職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進
育児休業、介護休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境づくり、育児や介護をしながら働き続けやすい環境の整備などを進め、仕事と育児・介護とを両立することができる雇用・就業環境の整備を図る。
オ 多様な勤務形態の環境整備
パートタイム労働や派遣労働など多様な働き方を選択できる環境を整備するとともに、情報通信を活用した遠隔型・職住近接型勤務形態の普及推進を図る。
(3) 公的年金制度の安定的運営
ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立
公的年金制度については、高齢化が急速に進行する中で、高齢期の生活の基本部分を確実に支えるという機能を将来にわたって担っていくことができるよう、遠い将来の老後の収入を世代間扶養により確実に支える合理的な仕組みであることなど、制度の基本的な考え方と重要性について広報、普及を行うとともに、平成16年までに行うこととなっている次期財政再計算に向けて、世代間の給付と負担の均衡を図り、お互いが支え合う、持続可能で安心できる制度の確立を図る。
その際、将来世代の負担を過重なものとしないため、現在行われている年金保険料の引上げの凍結を早期に解除することができるように取り組む。また、基礎年金については、国民年金法等の一部を改正する法律(平成12年法律第18号)附則第2条において「給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成16年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図る」とされており、この規定をどのように具体化していくかについて、安定した財源確保の具体的方策と一体として鋭意検討する。
イ 個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築
パートタイマーの増加など就業形態の多様化や女性のライフスタイルの変化などに対応し、就業など個人のライフスタイルの選択によって不合理な取扱いが生じない制度への見直しを進める。
ウ 公的年金制度の一元化の推進
公的年金制度の一元化については、就業構造の変化、制度の成熟化の進展等に対応し公的年金制度の安定化と公平化を図るため、「公的年金制度の一元化の推進について」(平成13年3月16日閣議決定)に則し、その更なる推進を図る。
(4) 自助努力による高齢期の所得確保への支援
ア 企業年金制度等の整備
企業年金、国民年金基金、確定拠出年金といった公的年金の上乗せの年金制度については、公的年金を補完し、国民の多様なニーズに応じた自助努力による老後の所得確保を支援するものとして重要な役割を担っている。新たに導入された確定拠出年金の円滑な普及・活用を図るとともに、平成13年6月に成立した確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)に基づき、適格退職年金から他の制度への円滑な移行を図る等企業年金の受給権の保護を図る。
イ 退職金制度の改善
高齢化が進展する中、退職金制度が老後の所得保障として果たす役割は依然として大きいことにかんがみ、退職金の保全を図る等の観点から、社外積立型の制度の導入等を促進する。さらに、中小企業における退職金制度の普及促進を図る。
ウ 高齢期に備える資産形成等の促進
ゆとりある高齢期の生活に資するため、高齢期の所得の安定を目的とする金融商品等の開発、各種金融サービス等の充実を通じて自助努力による資産形成を促進するとともに、勤労者の在職中からの計画的な財産形成を引き続き促進する。
あわせて、高齢者の有する資産を活用して高齢期の生活資金を賄う方法について環境整備を推進する。
また、判断能力が不十分な高齢者の安全な財産管理の支援に資する成年後見制度の周知を図る。
以上、抜粋