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(2001年4月12日)
<試用期間>
本採用した従業員を容易に解雇することはできません。新入社員を雇入れる場合、始めから本採用とはせず一定の「試用期間」を定めて使用する場合が多く見受けられます。「試用期間」は企業側にとってみれば仕事の適正や勤務状況などを日常業務の中で判断する期間ということができます。そこで、問題がなければ本採用とすることになります。一般的に試用期間中は、就業規則に定められた解雇事由に制約されず、従業員として不適格と判断された場合の解約権が使用者側に留保されていることになります。そもそも、「試用期間」は法文上に規定されているものではなく、我が国の雇用慣行の実情の中で取り入れられるようになりました。試用期間の長さは延長する場合なども含め最長でも1年以内を限度とするべきでしょう。
<試用期間と社会保険>
社会保険は被保険者となるべき者を雇入れた日をもって被保険者の資格取得日となります。その為、たとえ試用期間中の者でも被保険者の資格を取得することになります。被保険者の資格取得は「被保険者資格取得届」の提出によって手続き上確認されるものですが、「被保険者資格取得届」の提出によって資格取得の効果が発生するものではありません。雇入れによって資格取得の効果が当然に発生することになり、被保険者資格取得日を自由に決定できるものではありません。
<試用期間と最低賃金の適用除外>
最低賃金法第8条では、最低賃金の適用除外について定められており、都道府県労働局長の許可を受けたときは精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者や試用期間中の者等を最低賃金の適用から除外することが出来るとされています。ここでいう試用期間とは「当該期間中又は当該期間の後に本採用をするか否かの判断を行なうための試験的な使用期間であって労働協約、就業規則又は労働契約において定められている者をいう。従ってその名称の如何を問わず、実態
によって適用するものである。」「当該業種、職種等の実情によって許可する。この場合、その期間は最長6ヶ月を限度とする。」とする基準があります。(昭和34・10・28基発747)
<試用期間終了後の採用拒否>
ところで試用期間中の解雇や本採用拒否、試用期間の延長などでトラブルが発生するケースも少なくありません。試用期間中の者にとっては、試用期間を経過すれば当然、本採用とされると考えるのが普通だからです。試用期間中にその者が「無断欠勤が著しく多い」や「勤務の途中に席を離れる時間が多く、再三の注意にもかかわらず、社内の秩序を著しく乱す」などの場合は、本採用を拒否(実質的には解雇)しても当然といえます。但し、この場合でも試用期間14日以上であれば、最低30日以上の解雇予告を要することに留意して下さい。(労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けた場合は不要)また、試用契約付き労働契約締結の際にも「試用期間の延長」や「本採用拒否」に該当する事項を就業規則等で明確に定め予め書面にて明示しておくことも重要です。
<傷病を理由とした本採用拒否>
傷病を理由とした本採用拒否は、試用期間経過後も療養中で就労の目途が立たない場合や、労務提供能力が本来の労働契約における債務能力にある健康状態でない場合は本採用拒否は止むを得ないと解せます。(この場合、就業規則で試用期間中の者につき休職規定の適用を除外しておかなければ、試用期間中の者も就業規則に従い、例えば欠勤が3ヶ月続いた場合は、休職期間を与えるなど休職についての規定が適用されることになりますので、試用期間中の者には休職規定の適用を外しておくなどに留意して下さい。)但し、その傷病が業務災害による場合は、話が違ってきます。業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇が制限されるからです。(この解雇制限は懲戒解雇も制限されます。)一般に試用期間終了をもって労働契約期間の終了とは解されません。そのため、業務災害のため療養している者については、本採用の拒否(実質的な解雇)はできません。この解雇制限を解除されるのは、療養開始後3年経過後に平均賃金の1,200日分の打切り補償を支払った場合(労働者が療養開始後3年経過した日に労災保険の傷病補償年金を受けている場合、療養開始3年を経過した日後傷病補償年金を受けることとなった場合は、打ち切り補償を行なったものとみなされます。)や天災事変その他止むを得ない事由により、労働基準監督署長の認定を受ける場合です。
<試用期間を延長する場合>
本来、試用期間は本採用することができる労働者に適しているかどうかを判断するために設けられる期間であり、有期契約による雇入れではありません。その為、試用期間中で従業員としての適正を欠くため、本採用を拒否し直ちに解雇するというのも考えものです。そうではなく、試用期間中は当然、業務内容等に順応させるための教育期間でもありますので、試用期間終了時に適正を欠き、どうしても本採用として採用することが難しい場合などは、本採用を拒否するよりは試用期間を延長(なるべく、短い期間の方が望ましいことは言うまでもありません。)する措置が必要といえます。その場合は予め就業規則にその旨を規定しておき、労働契約締結時に通知しておきます。そして、その規則に従い試用期間中の者にその旨を伝えます。試用期間は、本採用時よりも契約解消の裁量の範囲は広いものととらえることはできますが、試用期間付き労働契約を締結し雇入れるわけですから、当然、恣意的に解約権を行使することはできないということになります。(社会保険労務士 大月 淳)
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