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<未払い賃金の立替払い制度>

未払い賃金の立替払い制度は、企業が倒産し賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払い賃金の一定範囲について政府が事業主にかわって立て替える制度で「賃金の支払の確保に関する法律」によって定められています。実際は労働福祉事業団が立替を行います。尚、労働福祉事業団が立替払いを行なった場合は、民法499条の規定が適用されますので、立替払いに相当する額について立替払いを受けた労働者の賃金債権を代位取得します。破産等の場合は裁判所に対し債権者名義変更届出等を行い管財人等に対して弁償請求をします。事実上の倒産の場合は事業主に弁償請求をします。当然のことながらこの制度により、倒産した企業の賃金債務が消滅する訳ではありません。あくまでも、労働者の保護を目的としています。

<倒産の範囲>
「賃金の支払の確保に関する法律」では
対象となる倒産について一定の範囲を定めています。それは主に2つに大別されます。一つは、破産、特別清算の開始、整理の開始、和議の開始(和議法の廃止及び民事再生法の制定に伴い、平成12年4月以降は再生手続きの開始)又は更生手続きの開始について、裁判所の決定又は命令があった場合。もう一つは、破産等の手続きはとられていませんが、事実上、事業活動が停止しかつ再開の見込みがなく、賃金支払能力がないことについて労働基準監督署長の認定があった場合(中小企業のみが対象)です。この場合、倒産した企業を退職した労働者が、会社所轄の労働基準監督署長へ「認定申請書」を提出することにより認定を受けます。但し、「認定申請」は倒産した会社を退職した日の翌日から6か月以内に行なわなければなりません。また、他の退職労働者により既に認定がされた場合は必要ありません。そして「倒産認定」を受けた後、労働基準監督署長に倒産認定についての「確認申請書」を提出し「確認通知書」の交付を受けます。

<立替払いの対象労働者>
立替払いを受けられる退職労働者は、労災保険の適用事業所で1年以上にわたり事業活動を行なってきた企業に雇用され、当該倒産により退職し2万円以上の未払い賃金がある者が対象になります。原則として、役員登記がされてい者は対象となりません。「当該倒産により退職」とは、破産等の申立日または、
事実上の倒産としての認定申請日の6か月前の日から2年間に当該倒産企業を退職した者です。

<立替払いの対象賃金>
対象となる賃金は、退職日の6か月前の日から労働福祉事業団へ立替払いを請求した日の前日までに賃金支払期日(いわゆる給料日や退職金支払日)が到来している「定期賃金」(税金や社会保険料を控除する前の額)及び「退職手当」です。「定期賃金でないもの」は主に、賞与や年末調整による還付金、解雇予告手当などです。

<立替払いをする額>
実際に
立替えられる額は、未払い賃金の80%です。但し、退職時期や年齢により未払い賃金総額及び立替払い額に上限が設定されております。平成10年4月1以降の退職ですと、退職日の年齢が45歳以上では未払い賃金総額の限度額は170万円、立替払いの上限額は136万円です。30歳〜44歳は同様に未払い賃金総額の限度額は130万円、立替払いの上限額は104万円、30歳未満ですと未払い賃金総額の限度額は70万円、立替払いの上限額は56万円となっいます。

<未払い賃金は時効に注意>
この未払い賃金の立替払いは8割であることや上限があるため尚、未払い賃金が十分に受けられない場合もあり得ます。倒産による未払い賃金に限ったことではありませんが、未払い賃金の請求については時効にも注意しなければなりません。
賃金請求権は2年で消滅時効が成立します。また、退職手当は5年です。(労働基準法115条)訴訟(90万円以下は簡易裁判所になり、30万円以下の場合は原則1回のみの審理で終わる少額訴訟もあります。)を起こしたり、支払督促の申し立て等裁判上の請求をしたり、仮差押等の裁判手続きをとることで時効は中断しますが、内容証明郵便(配達証明つきで出すべきでしょう)による請求など裁判外の請求でも時効は一時的に中断します。(民法153条)しかし、裁判外での請求をしても請求後6ヶ月以内に、裁判上の請求等をしなければ、時効は中断しなかったことになります。また、内容証明郵便による請求などによる時効の一時的な中断は1回限りですので、何度請求しても支払われない場合などは注意が必要です。債権者、債務者ともに誠意ある話し合いで解決することに越したことは言うまでもありませんが、事態が深刻な場合は、弁護士や社会保険労務士が行なっている都道府県や市町村による労働問題法律無料相談会などに相談してみるのも良い方法といえます。社会保険労務士 大月 淳




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